宇宙リスク管理のためのナノマイクロデバイスを用いたDNA損傷検出システムの開発 - 公募研究

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研究課題名 宇宙リスク管理のためのナノマイクロデバイスを用いたDNA損傷検出システムの開発
研究代表者
中村 麻子
連携研究者
  • 村井 正
    独立行政法人宇宙航空研究開発機構 宇宙飛行士運用技術ユニット・参事
  • 鈴木 孝明
    群馬大学 大学院理工学府・准教授

放射線被ばくは、宇宙線被ばくや医療被ばく、さらには福島原発事故に代表されるような予期せぬ放射線被ばくなど様々な場面において発生する可能性があり、線量評価による生体影響(発がんリスク)評価の重要性が指摘されている。放射線被ばくの生体影響を評価する方法として、一般的には染色体異常分析が用いられるが、この方法は結果を得るまでに時間がかかること、低線量放射線の影響は検出されにくいこと、あくまでも累積した放射線被ばくの影響しか検出できないことなどの問題を抱えていた。それに対し、リン酸化型ヒストンH2AX(γ-H2AX)を用いたDNA損傷モニタリング法は、1.2 mGyの放射線量に相当するDNA損傷を検出するほどに高感度であることなどから、生体内DNA損傷を迅速にモニタリングする方法として期待されている。しかしその一方で、γ-H2AXアッセイを含めほとんどの影響評価アッセイは実験室ベースで行われることがほとんどであり、国際宇宙ステーションのような『現場』における解析作業はいまだ困難な現状である。

そこで、本研究計画では、簡便なサンプリング、長期的かつ安定的なサンプルの保存、そしてγ-H2AXを用いたDNA損傷レベルの迅速な解析を可能とするアッセイデバイスとして、Polydimethylsiloxane (PDMS) チップに着目し、微量の血液サンプルからγ-H2AXによるDNA損傷検出までの行程を一つのデバイス上ですべて完了することのできるPDMSチップの開発を目指す。

本研究計画に基づき開発されるPDMSチップ型デバイスおよびそれを用いたγ-H2AXモニタリングシステムは、宇宙飛行士の生体内DNA損傷レベルを微量の生体サンプルで迅速に評価することを可能とするだけでなく、PDMSチップはγ-H2AX以外のバイオマーカーを用いた解析にも応用できる。つまり、宇宙空間における筋委縮・骨密度低下、宇宙酔い・循環障害、免疫力低下など様々な宇宙ストレスに対するバイオマーカーを選択し、それらについてPDMSチップを用いた解析を行うことで、総合的な生体影響評価を行うことが可能になると期待する。

図. (上) 放射線照射後のリンパ球におけるγ-H2AXフォーカス形成。線量依存的な上昇が確認できる。
図. (下) PDMSチップを用いたDNA損傷モニタリングの概略。PDMSチップ内のリンパ球は固定操作の後、冷凍保存などを行なうことで長期的に保存が可能になるT期待され、宇宙空間などにおける被爆の管理に有効である。